伊勢崎市議会議員伊藤純子さんのとんでもツイートがとまらない
伊勢崎市議会議員伊藤純子さんのとんでもツイートがとまりません。
こちらをご覧ください。
日本国憲法には「天皇奉戴」が明記されていることから、左翼・反天皇思想こそ、憲法に反しています。
— 伊勢崎市議会議員 伊藤純子 (@110junkoito) 2018年8月13日
日本人の感覚に「主権」という言葉は合わない、むしろ煩わしいように感じます。脈々と継承される立憲君主制を守るためにも、再度、帝国憲法の誕生に注目し、改憲に臨まれることを期待したいです。終
"日本国憲法には「天皇奉戴」が明記されていることから、左翼・反天皇思想こそ、憲法に反しています。
日本人の感覚に「主権」という言葉は合わない、むしろ煩わしいように感じます。脈々と継承される立憲君主制を守るためにも、再度、帝国憲法の誕生に注目し、改憲に臨まれることを期待したいです。終"
「左翼・反天皇思想こそ、憲法に反しています」という思想信条の自由をガン無視した発言はこの際放置するとして、「日本国憲法には『天皇奉戴』が明記されている」の部分に注目してみます。
はたしてそんなことが日本国憲法に明記されているのでしょうか。
とりあえず天皇の地位に関する条文を確認しておきましょう。
第1条です。
"天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く"
「奉戴」という言葉は出てきません。天皇は「日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」と書かれています。いわゆる象徴天皇制と呼ばれるものです。
そういえば、伊藤純子さんは主権の所在について「『国民』ではなく『国家』にある」と発言していましたが、この条文にも「主権の存する日本国民」とはっきり書かれていますね。
とにかく、「奉戴」とは書かれていません。天皇に関する第1条から第8条にもその他の条文にも前文にも、日本国憲法の中に「奉戴」という言葉はどこにも出てきません。
天皇について「奉」や「戴」といった字を使った箇所もありません(「奉」という字は「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない(日本国憲法第15条第2項)」という部分にだけ登場します)。
参考:憲法条文・重要文書 | 日本国憲法の誕生
実は、大日本帝国憲法にも「奉戴」という言葉は出てきません。「奉」という字は憲法発布勅語には登場しますが、大日本帝国憲法の条文には登場しません。
参考:憲法条文・重要文書 | 日本国憲法の誕生
では、天皇について「奉戴」といった言葉が使われているものとはいったい何なのでしょうか。
伊藤純子さんはなぜ「奉戴」というなんとなく身分の上下を感じさせるような言葉が憲法に明記されていると言ってしまったのでしょうか。
探してみると、「天皇を戴く」という文言が登場するそれらしきものを見つけました。
平成24年4月27日に決定された自由民主党の日本国憲法改正草案の前文です。
参考:日本国憲法改正草案 | 自由民主党 憲法改正推進本部
"日本国は、長い歴史と固有の文化を持ち、国民統合の象徴である天皇を戴く国家であって、国民主権の下、立法、行政及び司法の三権分立に基づいて統治される"
「天皇を戴く」と記載されています。
これと混同して「『天皇奉戴』が明記されている」と発言してしまったのでしょうか。
なお、後に訂正はしているようです。
現行憲法に「天皇奉戴」の明記はなされていません。「天皇奉戴」が明記されているようなもの、と申し上げるつもりでした。訂正してお詫びいたします。
— 伊勢崎市議会議員 伊藤純子 (@110junkoito) 2018年8月13日
"現行憲法に「天皇奉戴」の明記はなされていません。「天皇奉戴」が明記されているようなもの、と申し上げるつもりでした。訂正してお詫びいたします"
さて、伊藤純子さんのツイートにはこうも書かれています。
"日本人の感覚に「主権」という言葉は合わない、むしろ煩わしいように感じます"
勝手に日本人を代表するような口ぶりでこんなことを言ってもらっては困りますよね。
国民主権は日本国憲法の三大原理のひとつであり、日本はその原理のもとで戦後70年以上の歴史を刻んできたわけです。憲法のこの基本原理を否定するということは、現憲法下での日本の歩みの否定にも繋がるのではないでしょうか。
そして、伊藤純子さんの市議会議員としての地位も、日本国憲法に基づいて定められた地方自治法、公職選挙法などによって得られたものです。
自らの地位の否定にも繋がりかねない主張をするのはあまり賢い振る舞いとは言えません。
憲法第93条第1項と第2項を見ておきましょう。
"地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する"
"地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する"
最後に、憲法第99条を確認しておきましょう。
"天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ"
伊藤純子さんにはこの規定を忘れないでほしいものです。