ロジ・レポート

ロジのレポートです。

「桜を見る会」野党ヒアリング 内閣官房が担当する安倍首相枠、与党議員枠推薦者名簿の行方

 2019年11月13日、総理大臣主催「桜を見る会」の問題に関する野党4党合同追及チームによるヒアリング第2回が行われた。
 
 立憲民主党の黒岩議員が座長となり、立憲民主党日本共産党、国民民主党社会民主党の国会議員が各府省庁の担当者との質疑応答を通して、桜を見る会の問題に関する真相を究明しようとするものである。

 動画はこちら。

 チャンネル:石垣のりこ
 第1回 第2回 第3回
 チャンネル:Movie Iwj
 第1回 第2回 第3回
 

 重要なやりとりがあったので、本記事で取り上げたいと思う。

 なお、桜を見る会について取り上げた今年5月の記事も読んでみてほしい。




 
logicalplz.hatenablog.com

ヒアリングでどんなやりとりがあったのか?


 冒頭の挨拶、内閣府の資料説明の後、国民民主党の原口議員が手を挙げ、座長の黒岩氏からマイクを受け取った。

 「先ほどのレク、ありがとうございました」

 原口氏は、内閣府に礼を述べると、柔和な表情を浮かべ、静かに切り出した。

 「私たちが知りたいのは、政治家の枠がどこから来たかということなんですね。」

 ひとつひとつ自身の言葉を確かめるように、ゆっくりと、しかしはっきりとした口調で続ける。
 「それもさっき伺ったんですが、内閣府とすると各省からの推薦だけを受け付けている、というお答えだったんですが、それはそれで結構ですか。」

 内閣府・大臣官房総務課長の酒田氏が答える。
 「はい、内閣府は各省からの推薦名簿というものを受け取っています。」
 
 間髪入れず、国民民主党の奥野議員が尋ねる。
 「先ほどね、官房長官会見で官房長官が、首相官邸、与党に推薦依頼を行っていることを明らかにしたという報道が流れているんですが、これは嘘ということですか。」


 「内閣官房でございます。内閣官房のとりまとめにおきましてですね、長年の慣例といたしまして、官邸内、それから与党に対してですね、推薦依頼を行っているところでございます。」
 内閣官房・内閣総務官室内閣参事官の中井氏が答えると、野党席にどよめきが起きた。

 原口氏としては予想通りの回答だったのだろう。内閣官房の回答を受け、そのまま続ける。
 「そうなんですよね。だから、今のとっても大事で、内閣府は、各省からだけを受け取っている。そして、そこに政治家枠があるかどうかは、内閣府は、分からない。」

 視線を向けられると、内閣府総務課長は素早く簡潔に答えた。
 「内閣府は、各省庁、各府省庁からの推薦名簿を受け取っているというところでございます」

 原口氏は続ける。
 「だけですよね。そして、内閣官房は、政治家あるいは党からの推薦枠を受け取って、それを内閣府に渡してる。これ正しいですか。」

 内閣官房参事官の中井氏が、やや早口で説明する。
 「内閣官房内閣府で共同の事務局をやっておりますので、取りまとめの際に、一省庁としての内閣官房についての推薦をその中に入れているという形でございます。」
 
 原口氏。
 「そうですね。つまり、内閣官房が。その枠は何人ですか。」

 内閣官房
 「特に枠の設定はございません。」

 ここで、原口議員の顔色が変わった。笑みが消え、目つきが厳しくなる。

 「いやいや、それおかしくないですか。だって、全体で1万でしょ。1万は、内閣府に訊きますが、なんで決まってるんですか。」

 視線の先の内閣府総務課長が落ち着き払って答える。
 「開催要領で決まっているということです。」

 視線を内閣官房参事官に戻し、原口氏が強い口調で問う。
 「開催要領で1万て決まってんのに、なんで内閣官房は枠なしで推薦を持ってるんですか。」

 参事官がまたやや早口で答える。
 「内閣官房全体としてということで申し上げるとですね、必ずしもそこは、最後の取りまとめの段階でございますので、枠というものが特に決まっていないということでございます。」
 
 野党席から、「なんで枠がないんだ」と声が飛ぶ。

 田村智子参議院議員が、確かめるように尋ねた。
 「各省に推薦名簿を作るように、内閣官房が、ひとつの省のようになって、名簿をつくっているという風に理解してよろしいでしょうか。」

 内閣官房参事官がジェスチャーを交えて答える。
 「内閣官房内閣府で最後に取りまとめをいたしますので、その過程で、内閣官房分ということで、官邸内、それから与党のご推薦の分も含めて取りまとめをしているということです。」

 内閣官房が、各府省庁からの取りまとめだけではなく、独自の枠を持っているということだ。
 この枠こそが、問題の核心部分、安倍首相や与党議員の推薦枠である。

 野党席からの質問。
 「今年何人ですか。」
 
 内閣官房参事官が答える。
 「すいません。今年の分につきましてはもう名簿を廃棄しておりますので数は分かりません。」
 
 さらに「昨年は。」と問われると、
 「昨年も分かりません。」
 参事官は答え、さらなる質問に備え、唾を飲み込んだ。

 間をおかず、原口氏が尋ねる。
 「いや、そうするとね、総務省とか文科省は10年というのがありましたね。で、内閣官房も同じような文書保存規定を持っているはずですけど、それを出してください。」

 内閣官房参事官が応じる。
 「かしこまりました。ちょっと今持ち合わせがございませんですけれども、提出させていただきます。」

 原口氏が「何年ですか。」と続けると、

 「1年未満でございます。」

 はっきりと言い切った。

 原口氏が確かめにかかる。
 「1年未満ですか。発送表じゃないんですよ。つまり、推薦名簿、推薦名簿を内閣府に出しますね。そしたら内閣官房は、その中で、この人とこの人とこの人はいいですよってのをもらうでしょ。つまり、推薦したもの全員入りますか。違うでしょ。」

 内閣官房参事官は、質問内容をやや理解しかねているかのような表情を浮かべながらも、答えた。

 「先ほど申し上げたように、内閣官房内閣府で最終的に取りまとめをいたしますので、その段階で、内閣官房分をそこに、中に入れてまいりますので、最終的には、内閣府からご説明したように名簿という形になります。それはもう最終的にもう廃棄をしているということでございます。」

 「最終名簿の調整はどこがするの。内閣府なの。内閣官房なの。」
 野党席から質問が飛ぶと、 

 「共同でやってございます。」
 参事官は素早く答える。

 「それはだから、発送者、招待者の名簿の話でしょ。そうじゃなくて、推薦者の名簿。内閣官房からの推薦者の名簿の保存期間は何年。」

 「1年未満でございます。」
 野党側からの質問に対し、素早く簡潔に答える。

 「他のと違いますよね。」
 と野党。

 「他のと違うとは。」
 と参事官。
 
 原口氏。
 「文科省の推薦名簿、10年でしょ。」

 内閣官房参事官が応じる。
 「それは各省ごとに違うということだと思います。それは文書管理規則がそれぞれに決まっているところです。」

 「やりたいことを好き勝手にできるってことじゃないですか。」
 野党席から呆れたような声が出てくる。

 「我々としては文書管理規則に基づいてやっているということでございます。」
 参事官が言い返す。
 
 野党席から「隠蔽、やりたい放題だね」との声が発せられると、参事官はため息をついた。

 やや騒がしくなる場内。日本共産党の宮本議員がマイクを握る。
 「推薦枠はいくらでもあるということなんですけども、安倍事務所からの推薦もあったということでよろしいですね。」

 少しばかり言葉に窮しながら、参事官。
 「総理からの、総理室というかですね、事務所に最終的には確認をして、推薦をいただいております。」

 宮本氏が続ける。
 「安倍事務所ですか。地元事務所ですか。議員会館の事務所ですか。」

 「我々がですね、事務的に、総理室を通じてですけれども、総理室で取りまとめているわけでは、必ずしもない、という風には思いますので、そこは事務所に訊いていただくことではないかと思います。」
 参事官は答えにくそうに応じた。

内閣官房が担当していた総理枠、与党議員枠の名簿は本当に廃棄されているのか?

 
 さて、ここからもまだ質疑応答は続くわけだが、そろそろこの記事の本題に入る。

 桜を見る会の招待者は、各府省庁からの推薦に基づいて最終的に内閣官房内閣府が取りまとめて決定する、というのが政府側の説明だ。

 そして、11月13日のこのヒアリングで、取りまとめ役である内閣官房からも招待者の推薦を行っていることが確認できた。

 上でも述べたが、この内閣官房からの推薦こそが今回問題となっている総理枠(安倍首相枠)、与党議員枠なのだ。

 つまり、内閣官房は他の省庁と同じように推薦名簿を持っているはずであり、その名簿には総理枠、与党議員枠によって推薦された人々の名前が載っているというわけだ。

 その推薦名簿について内閣官房の参事官は、保存期間1年未満の文書としてすでに廃棄している、と説明した。

 が、この部分について、どうも内閣官房の説明は怪しい。

 翌日14日のヒアリングでは、内閣官房は、廃棄した名簿について、内閣官房行政文書管理規則7条9項2号の文書にカテゴライズしていると説明した。

 7条9項2号の文書とは、「定型的・日常的な業務連絡、日程表等」に当たる文書のことで、保存期間を1年未満とすることができる文書の一例だ。

 しかし、ここが重要なのだが、これは総理枠、与党議員枠の推薦名簿のことではない。

 内閣官房がこの7条9項2号にカテゴライズし、保存期間1年未満文書として廃棄したのは、各府省庁から推薦名簿を取りまとめた末に作成した招待者名簿のことである。

 内閣官房から出した推薦者名簿が「定型的・日常的な業務連絡、日程表等」に当てはまる文書というのはさすがに無理がある。

 14日のヒアリングでも指摘されているが、他の省庁では10年の保存期間とされている文書が、内閣官房だけ1年未満で廃棄されるのはやはりおかしい。

 そして、仮に1年未満文書だったとして、廃棄した場合にはそれを速やかに公開するというルールがある。規則11条6項だ。

 内閣官房はそれに従ってウェブ上で廃棄した1年未満文書を公開しているが、令和元年4~6月、7~9月期のいずれも該当がない。

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内閣官房 行政文書ファイル等の廃棄の記録(保存期間1年未満)
情報公開・公文書管理 行政文書ファイル等の廃棄の記録|内閣官房ホームページ

 なお、この公開に関しては先ほどの7条9項各号の文書は対象外のようだが(規則11条参照)、内閣官房からの推薦者名簿は7条9項各号の文書には当たらず、もしそれが1年未満文書として廃棄された場合はここに公開されるはずだ。

 ここに公開されていないということは、廃棄されていないか、廃棄したにもかかわらず公開していないか、のどちらかということになる。後者はもちろんルール違反だ。

 桜を見る会に関しては、総理大臣による有権者の買収、税金の私物化といった語り口で取り上げられることが多いが、文書管理の問題も重要な論点として含まれている。
 各府省庁の担当者との質疑応答によって進められる野党合同ヒアリングの性質上、最重要論点と言ってもいいだろう。

 14日のヒアリングでは、名簿の紙媒体については5月9日に廃棄され、電子媒体についても同じ頃に廃棄されたことが明らかとなった。
 日本共産党の宮本徹議員が本件の調査のために内閣府に情報提供を求めていた時期と符合し、内閣府による情報隠蔽の疑いも強まっている。
 
 週明け月曜日からのヒアリングでのさらなる追及に注目したい。

年金デモ参加者を「税金泥棒」と罵ったホリエモンこと堀江貴文氏、自身が経営に関与する会社に税金が投入されていた

 6月16日、東京都内で「年金返せ」デモが開催された。
 金融庁の審議会が提出した報告書の内容やそれについての政府の対応に抗議するデモで、主催者発表で約2000人が参加した。

 老後の生活の要であるにもかかわらず、これまでも様々な不正が発覚し、制度崩壊まで囁かれる年金。ただでさえ不安が募っているのに、今回さらに、年金だけでは2000万円足りない、というようなことを言われたら怒るのも当然だろう。





 切実な問題意識を持って行われたこの年金デモについて、堀江貴文さんが驚くべきツイートをした。

 


 "ほんとそんな時間あったら働いて納税しろや。税金泥棒め。"

 何を思ったのか、年金デモ参加者を「税金泥棒」と口汚く罵っている。
 当然のことながら批判が殺到した。
 デモ参加者を「税金泥棒」とはいったいどういうことなのか。

 意図的にSNS等で炎上を引き起こし注目を集め自己利益に結びつける手法を「炎上商法」と呼ぶことがある。今回の堀江氏のツイートもその類だから相手にするなという声も聞こえてくるが、それにしても、デモ参加者を「税金泥棒」というのはさすがに意味が分からない。

 憲法21条で「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由」が保障されているのだから、集団での示威行為であるデモ行進は人々の権利であり、「泥棒」などと言われる筋合いは全くない。
 
 堀江氏は後にこうツイートしている。

 

 
 "お前相変わらず文脈とか行間読めねーんだな。親切に教えてやるよ。このデモに参加してる奴の大半は実質的に納税してる額より給付されてる額の方が多いんだよ。それを税金泥棒って言ってんだよ。"

 デモ参加者の実質的に「納税している額」と実質的に「給付されている額」という分かりようもないことを根拠にして「税金泥棒」と言ったようだ。

 つまり何の根拠もないわけだ。
 とりあえず「税金泥棒」と言いたかったのかもしれないが、年金制度を憂い老後の生活に不安を募らせ立ち上がった人々に向ける言葉ではなない。


 さて、この堀江氏が立ち上げたインターステラテクノロジズ株式会社というベンチャー企業がある。

 堀江氏自らも取締役をつとめるこの会社は、国産民間小型ロケットの打ち上げに挑戦している。
 2019年5月4日、小型ロケットMOMO3号機は見事打ち上げに成功し、宇宙空間に到達した。
 

 日本のベンチャー企業が宇宙開発に参入し、ロケット打ち上げに成功するという何とも夢のある話だが、実はこの会社、税金が投入されている。

https://www.meti.go.jp/information_2/publicoffer/review2016/saishupdf/27004100METI.pdf
 これは2016(平成28)年度の経済産業省行政事業レビューシートだが、ここにインターステラテクノロジズの名前が出てくる。

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 研究開発のために1800万円が一般会計から拠出されているのだ。


 一般市民のことを「税金泥棒」と罵る堀江氏が経営に関与している会社が税金を直接受け取っている。


 なんとも呆れる話である。


 2017(平成29)年度にも一般会計から1800万円。
https://www.meti.go.jp/information_2/publicoffer/review2017/saishu/28003600METI.xlsx

 2015(平成27)年度は行政事業レビューシートに名前こそ出てこないが、その他の経産省の資料によるとやはり予算がついているようだ。
https://www.meti.go.jp/information_2/publicoffer/review2015/saisyu/26005900METI.xlsx

https://www.meti.go.jp/policy/tech_evaluation/c00/C0000000H30/181015_space_1st/space_1st_7-7.pdf

 どうやら事業が終了する2020(平成32、令和2)年度まで国から予算が出るということらしい。


 ロケット打ち上げに巨額の費用がかかるのは分かる。民間企業の宇宙開発への挑戦を政府が援助することも必要かもしれない。


 しかし、自分は税金の恩恵を多分に受けながらデモに参加した市民を「税金泥棒」と侮辱するのは厚顔無恥もいいところだ。

 このロケットは「ホリエモンロケット」とも呼ばれており、打ち上げるたびに堀江氏の宣伝になるということも忘れてはいけない。

 生存権に関わる年金制度について問題意識を持って意見を発する人々に対して不当な罵声を浴びせるなどもってのほかである。


 税金は、社会全体の利益を実現するために国家活動の源泉とするものだ。
 繰り返しになるが、デモ行進は憲法で保障された人々の権利であり、また、人々は平等に政治に参加する権利を持っている。
 納税額の多寡で政治に口出ししていいかどうかが決まるものではない。

 
 堀江氏もずいぶんと税金の世話になっているのだから、デモ参加者を「税金泥棒」と罵るのは不当で滑稽であることに自分自身で気づいて欲しいところだ

桜を見る会の招待者推薦については個人情報の関係で答弁を差し控えたい、との答弁書が閣議決定された件

 国会の質疑で内閣府が「桜を見る会の資料はすでに廃棄した」と答弁したことについて5月25日のブログで取り上げた。

logicalplz.hatenablog.com

 参考人である井野官房長の説明によると、該当の資料は保存期間一年未満ですでに廃棄したとのことだったが、調べてみると、桜を見る会に関する資料は長いもので10年の保存期間が定められており、その点を指摘した。



 記事には、はてなブックマークのコメントが多数付いた。

 「前例主義の役所が前例を廃棄するはずはないんだよな。」

 「そりゃそうだなとしか。誰か公文書開示請求してみて?/重箱の隅つついて嫌がらせしてるだけってブコメ、文書主義は近代国家の基礎だぞ?毎年の行事を言い伝えで継承してることになるが、おかしいと思わんの?」

 「何が何でも検証させないという強い意志を感じる。」

 「これで国民が領収書廃棄したら税務署乗り込んでくるんだから笑える」

b.hatena.ne.jp

 もっともな意見だなと思う。

 
 さて、この件を追及している日本共産党宮本徹衆議院議員が、5月28日、「安倍総理主催『桜を見る会』に関する質問主意書」を提出していたが、それに対する答弁書が6月7日に届いたようだ。

 質問主意書答弁書の全文はこちらの宮本議員のホームページで公開されている。

miyamototooru.info
 
 提出した質問主意書の中に、「『桜を見る会』への招待は、いったいどういう基準で行われているのか」という内容が含まれている。
 宮本議員は、ジャパンライフ創業者を推薦した省庁はどこか、というピンポイントの質問をしていたが、この問題は他の招待者についても同じだ。


 5月21日の財務金融委員会の質疑によると、桜を見る会へ誰を招待するかは各省庁からの推薦を踏まえて内閣府内閣官房が最終的に決定するということらしいが、どの省庁がどういう理由で推薦したのか、最終決定はどのように行われるのか、選定の過程が不透明なのだ。

 税金を費やして開催される行事に誰がどういう基準で誰によって選ばれて招待されるのか、やはり気になる。
 
 質問主意書に対し、閣議決定された答弁書にはこう書かれている。

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写真 宮本徹衆議院議員のホームページより



 ”「桜を見る会」の個別の招待者の推薦元については、当該招待者の個人に関する情報が明らかになるおそれがあることから、お答えすることは差し控えたい”


 個人情報の関係で答えられないということだろうか。

 しかし、それはおかしな話だ。

 招待者の個人情報への配慮は必要だろうが、何もプライベートな情報を公開してほしいと言っているわけではない。

 招待者として推薦したのはどの省庁かを教えてほしいだけだ。

 もっと言えば、誰がどういう理由で推薦したのかということだ。


 5月13日の決算行政監視委員会で、菅義偉内閣官房長官はこう答弁している。


 ”また、この桜を見る会は、昭和二十七年以来、内閣総理大臣が各界において功績、功労のあった方々を招き、日ごろの御苦労を慰労するとともに、親しく懇談される内閣の公的行事として開催をしているものであり、必要な経費については予算から先ほど言われましたように支出しているということであります。”


www.shugiin.go.jp

 桜を見る会へは、「各界において功績、功労のあった方々」が招待される。

 招待者の選定が適切かどうか問われているのなら、政府としてはとりあえず招待した人の「功績、功労」と、誰が「功績、功労」を評価したのかくらいは明らかにするべきだろう。

 この会に招待されるのは名誉なことで、会に招待されるほどの「功績、功労」について、また、どの省庁がその「功績、功労」を評価したのかについて公表することは、特にプライベートなことでもなく、問題がないと思う。

 実際に、省庁が「功績、功労」を示して個別の招待者を紹介しているケースもある。


 ”今般、内閣総理大臣から、株式会社愛媛CATVの神山 充雅(こうやま みつまさ)取締役会長が、平成29年4月に開催される総理主催の「桜を見る会」に招待されますので、お知らせします。”

 これは、総務省四国総合通信局のウェブページに掲載されているものだ。

www.soumu.go.jp

 推薦理由も書かれており、「ケーブルテレビ事業等を通じた全国に先駆けた取組等による情報通信の発展及び地域の情報化への多大な貢献。」となっている。

 これだけ情報提供をしてくれたら納得できる。

 総務省新潟県の行政相談委員の方が会に招待されたことについても公開している。行政相談員の重要性や本人の表彰歴等が書かれており、これも納得できる。

www.soumu.go.jp


 これと同じように、招待者の「功績、功労」を推薦理由として示す各省庁の資料があるはずで、それを明らかにすれば選定の適切性についての議論が前に進む。


 それとも、招待者の中でそういったことを公開できる人とそうでない人がいるのだろうか。
 もしそうであれば、両者の違いは何なのか。

 何か不都合なことでもあるのだろうかと勘ぐってしまう。

 2014年に8%になった消費税をがさらに引き上げられようとしている中で、税金の使途について厳しい目が向けられるのは当然のことだ。

 内閣府には、この件について改めて説明責任を果たしてもらいたい。

独立行政法人地域医療機能推進機構熊本総合病院のウェブサイト、他国に対する排外主義的発言を垂れ流し

内閣府大臣官房政府広報室「国政モニター」のヘイトスピーチ

 昨年4月、内閣府大臣官房政府広報室が運営する「国政モニター」というウェブサイトで、ヘイトスピーチやデマ、誹謗中傷に当たる文章が多数掲載されていることを発見し、ブログで取り上げた。
 
logicalplz.hatenablog.com

 
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 「国民の税金を食んでいながら、国益を損なうことばかり、外務省は国賊養成所としか思えない。また、鳩山元総理など、外患誘致罪で処刑にすべきではないだろうか?」

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 「帰化しても共産党員や民主党員のように、あるいは与党の自民党で日本貶めを画策する議員がいるように、日本人とは名ばかりの反日外国人が暗躍することは、どれほどの国益を喪失しているかは、省庁をはじめ現場の方たちは思い知っていると想像しています。」

 「日本は中国の前に在日朝鮮人に牛耳られている。大問題。竹中平蔵氏など在日企業の息の者は即刻排除するべき。」

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 「『泣く子は餅を一つ余計もらえる』『嘘も100回言うと本当になる』というのはかの国のことわざですが、そういう国民性であるということもよく考えるべきでしょう。」

 「国内にいる在日と呼ばれる方々が嫌われるのも同じ理由なのですが、かの民族に対する対処はよく考えていただきたい。」
 
 在日韓国、朝鮮人へのヘイトスピーチ、特定個人や特定政党への誹謗中傷や攻撃的な文章が日本政府のウェブサイトに堂々と掲載されていた。
 日本国民の意見とされていたが、こんなものを国民の意見として政府のウェブサイトに載せてもらっては困る。改めて見直してみてもひどいものばかりだ。

 この件はウェブメディアや新聞でも記事になり、国会でも取り上げられた。


内閣府「国政モニター」にあふれるヘイトや誹謗中傷 担当者は「びっくりしている」
https://www.buzzfeed.com/jp/kotahatachi/monitor-gove


ここは嫌韓系の掲示板? 内閣府「国政モニター」の中身が物議
www.j-cast.com


「在日の強制退去が必要」「鳩山元総理を処刑」 内閣府サイトが差別的なヘイトを掲載
www.huffingtonpost.jp


内閣府ヘイトスピーチ在日特権デマを「国民の声」として政府のウェブサイトに大量公開!
lite-ra.com


「国政モニターに差別的内容」指摘 内閣府、公開やめる:朝日新聞デジタル
www.asahi.com


内閣府サイト:ヘイトスピーチや誹謗中傷野放し - 毎日新聞
mainichi.jp


その投稿に、正義はある? 内閣府サイトのヘイト投稿から考える モバプリの知っ得![54] - 琉球新報Style - 沖縄の毎日をちょっと楽しく新しくするウェブマガジン。
ryukyushimpo.jp



第196回国会 270 「国政モニター」のサイトで外国人に対するヘイトスピーチ、誹謗中傷が閲覧出来る状態になっていることに関する質問主意書
www.shugiin.go.jp


第196回国会 320 「国政モニター」のサイトで外国人に対するヘイトスピーチ、誹謗中傷が閲覧出来る状態になっていることに関する再質問主意書
www.shugiin.go.jp


 大きな批判に晒された結果、内閣府は問題のウェブサイトの公開を中止した。

 しかし、結局、ヘイトスピーチやデマ、誹謗中傷に当たる文章を掲載していたことについては何の説明も謝罪もないままだ。

熊本総合病院のウェブサイトに掲載されている排外主義的発言

 さて、今回、国政モニターのようなド直球のヘイトスピーチではないが、他国に対する排外主義的な発言が多数掲載されているウェブサイトを発見した。

 独立行政法人地域医療機能推進機構が運営する熊本総合病院のウェブサイトだ。

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写真加工アプリ Photor Photo Editor

問題の箇所を一部取り上げる。
 
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 「中韓露という異質の国」
病院長あいさつ2015 1月 - 熊本総合病院 | 地域医療機能推進機構



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 「一部の活動的反日在日外国人」
病院長あいさつ2014 10月 - 熊本総合病院 | 地域医療機能推進機構



f:id:logicalplz:20190605095920p:plain
 「中国や朝鮮やソ連などの現政府には極めて無理な歴史しか存在しない」
病院長あいさつ2012 11月 - 熊本総合病院 | 地域医療機能推進機構



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 「『反日こそ正義」が韓国の『公正』。どうしようもない」
https://kumamoto.jcho.go.jp/pharm2/wp-content/uploads/sites/4/2018/12/di_201510.pdf



 これらは主にウェブサイト中の「病院長のあいさつ」のページに掲載されているが、薬剤部のDIニュースというページにも登場する。

 熊本総合病院は、熊本県八代市にある総合病院で、厚生労働省所管の独立行政法人地域医療機能推進機構が運営している。

 総務省によると独立行政法人制度とは、「各府省の行政活動から政策の実施部門のうち一定の事務・事業を分離し、これを担当する機関に独立の法人格を与えて、業務の質の向上や活性化、効率性の向上、自律的な運営、透明性の向上を図ることを目的とする制度」とのことだ。


 独立行政法人は、公共的な性格をもつ事業を効率的に行うために法律の制定によって設立される法人のことで、純然たる国家機関ではないが、行政事業の一部を担うために国家の関与によって設立され、高い公共性、公益性を持っている。


 ウェブサイトには政府ドメイン go が割り当てられており、上で紹介した「国政モニター」と同じように、日本政府がこういった発言にお墨付きを与えているようにも見える。

 最大の問題は、これらの排外主義的な文章が病院のウェブサイトに掲載されているという点だ。


 病院は利用者の健康や生命を預かる医療機関であり、利用者には外国人も含まれる。

 自分の祖国を「反日」や「異質の国」と罵る攻撃的な文章をウェブサイトに堂々と掲載しているのを見つけたら、ギョッとしてしまう。
 安心して病院を利用することができなくなってしまうだろう。
 

 以前、ツイッターで医師がヘイトスピーチを繰り返し、所属の病院が謝罪文を掲載したことがあった。紹介するのもはばかられるあからさまな差別発言が繰り返されていた。


 今回の熊本総合病院のウェブサイトに掲載されている文章はそこまでのものではないが、特定の国に対する排外主義的な文章が病院という医療機関の公式ウェブサイトに堂々と掲載されており、しかもその病院が厚生労働省所管の独立行政法人が運営しているという点で大きな問題があると思う。

 八代市は、外国人観光客や在住外国人に対応するため「やつしろ国際化推進ビジョン」というものを策定し、国際化の推進を図っている。
www.city.yatsushiro.lg.jp


 熊本総合病院には、外国人を含めて誰もが安心して利用できる医療機関であるために、情報発信のあり方についての再考も含めて、適切な対応をとってほしいと思う。







 この件についてもう少し詳しくnoteに書いたので読んでもらえればと思います。
note.mu

 

東大阪市立小学校の運動会で組体操の「人間ピラミッド」の実施が予定されていることについて

 東大阪市立小学校の運動会で組体操の「人間ピラミッド」や「人間タワー」が実施される予定らしい。ツイッターで情報が拡散されて、批判が集まっている。


 人間ピラミッドとは、四つんばいになった人間が三角形状に重なってピラミッドのような形をつくる集団演技(マスゲーム)のことだ。
 人間タワーも同じようもので、こっちは人間が重なってタワーのようなを形をつくる。



写真 昭和26年中学校・高等学校 学習指導要領 保健体育科 体育編 (試案)
https://www.nier.go.jp/guideline/s26jhp/chap7.htm


 日本では運動会で組体操の演技として生徒によって行われることが多い。なお、組体操と組立(くみたて)体操が区別されることもあるらしいが、ここでは特に区別しないことにする。


 ウィキペディアで検索すると、簡単な組体操については、紀元前2000年頃に描かれた古代エジプトの壁画でも確認できるとの記載があった。そう言われると教科書か何かで見たような気がする。



 人間というのは器用だし、複数人の間で細かな意思疎通ができる。何人か集まれば、道具を使わずに生身の体だけで様々な形を作れることに誰だって気づくだろう。大昔からこういったことが行われてきたのは必然とも言える。


 スペインのカタルーニャ地方では祭りの際に「人間の塔」が披露されることがある。カラフルな衣装を身にまとった男たちが肉体だけで塔を築き上げている様子をテレビで観たことがある人も多いのではないだろうか。
 なぜこんなことをして熱狂しているのだろうか、と思わないこともないが、祭りというのはだいたいそんなものだ。なぜか裸になったり、なぜか水をかけられたり、なぜか燃やしたり、なぜか坂を滑り降りたり。肉体的、心理的な負荷を伴うものや危険なものも少なくない。その地域の信仰や文化と関係する何かしらの意味があって、古くからの伝統を継承しているのだろう。


 しかし、学校でこれらピラミッドやタワーといった組体操の演技を強制的に行わせることは、正直ちょっと意味が分からない。

 学校は教育が行われるところで、生徒は教育を受けに学校に行っている。大人が自分の意思でするならまだしも、組体操は教育の現場で児童生徒に強いるものではない。

 筆者も小中学生のとき、運動会で組体操をやった。ホイッスルや音楽に合わせて肩車をしたり、膝の上に乗ったり、ピラミッドだったか何だったか忘れたがクラスメイトの体に上ったりした。

 当時も意味が分からなくて嫌々やっていたが、今改めて考えてみてもやはり意味が分からない。いったい何が目的なのか。
 教育的な意義があるという合理的な説明ができるのだろうか。


 東大阪市の某小学校のウェブサイトを見ると、校長先生が運動会の組体操について語っていた。

 「最後の組体、さすがは高学年という出来栄えでした。 直前の練習ではあまり決まらなかった技もどんどん決めることができました。立体ピラミッドでも顔をしかめながらよく耐えていました。上にのぼる者は土台の 人の痛みやしんどさを思い、土台の者は上の人の恐怖感を思い、絶対落としてはならないと心に誓って取り組んでくれていました」

 思うに、組体操とは、あえてつらいことをさせて、けれども仲間と一緒にそれを乗り越える体験をさせるためのものなのだ。
 この校長先生の言葉にもあるように、「耐える」「痛み」「しんどさ」「恐怖感」というものが要素になっていて、それをみんなで乗り越える儀式みたいなものなのだろう。

 本質的には、集団でなければ乗り越えられない試練を設定することによって、集団の一部として行動する姿勢や、指示に対して集団として従うことを学ばせているのだと思う。

 そして、子どもたちがそうやってつらい思いをしながら真剣に演技に取り組む様子を見て、大人たちが感動するためのエンターテイメントにもなっている。

 なるほど、子どもたちにとっても仲間と達成感を共有できる体験なのかもしれない。けれど、それは組体操でなくてもいい。ピラミッドやタワーを実施することによってしか得られないものではない。


 何より、組体操は危険だ。
 2015年9月、大阪府内の中学校で10段の人間ピラミッドが崩れ、生徒6人が重軽傷を負った。
 ネットに上がっている動画を観ると、明らかに危険な行為だということが分かる。
 この事故を契機にして国会でも組体操の危険性が取り上げられるようになり、2016年3月25日にはスポーツ庁が各都道府県の教育委員会等に対して安全性を確認できない場合の実施見合わせも含めた注意喚起を行なった。
http://www.pref.nara.jp/secure/156471/【別添写し】スポーツ庁事務連絡.pdf:image=http://www.pref.nara.jp/secure/156471/【別添写し】スポーツ庁事務連絡.pdf


 この事故だけではない。政府が公表している資料によると、組体操により年間8000件を超える負傷事故が発生しており、昭和44年以降に9人が死亡、障害の残った子どもは92人に上る。
https://www.jpnsport.go.jp/anzen/Portals/0/anzen/anzen_school/28jireisyu.pdf


 それなのに、なぜそんなにピラミッドやタワーを実施したいのだろうか。
 

 死傷者がでるようなことをする必要はない。いや、そんな危険なことを学校行事でやらせてはいけいない。

 間違っても校長先生をはじめとする大人たちの満足のために子どもを危険にさらすなんてことは、あってはならない。

 この件については、保護者からも反対の声が上がっているようだ。拡散されている情報によると結構な高さのピラミッドを予定しているとのことで、子どもの安全を心配するのは当然のことだ。
 
 東大阪市立小学校は、保護者の声に耳を傾けて、運動会でのピラミッドやタワーの実施について、見合わせを含めてもう一度考えてほしい。

内閣府が「桜を見る会の資料は廃棄した」って言ってたけど本当?

logicalplz.hatenablog.com




桜を見る会」についての宮本議員と井野官房長のやりとり

 2019年5月21日の衆議院財務金融委員会で「桜を見る会」についてのやりとりがあった。

 詳しくはこちらの動画

 委員である共産党宮本徹議員が招待者の増加の理由について質問した際、内閣府の井野官房長がこんな答弁をしていた。

桜を見る会には、外交団、国会議員、都道府県知事、議長をはじめ、各界において功績・功労のあった方々を、各府省庁からの意見を踏まえ幅広く招待しているが、内閣官房および内閣府において最終的にとりまとめているところであり、結果的に招待者および参加者が増えた」

 招待者増加の理由についての答えにはなっていないが、どうやら各省庁が意見を出し、内閣官房内閣府が最終的にとりまとめて桜の会への招待者を選定しているということらしい。

 その招待者の各省庁による推薦や内閣官房内閣府によるとりまとめの過程について宮本委員が質問すると、「招待者とりまとめの過程における詳細については回答を差し控える」と井野官房長。なぜか答えられないらしい。

 その後も宮本委員は重ねて招待者選定の過程についての質問を行うが、やはりはっきりとした回答は得られない。
 さらに、「各省庁からの数というものは資料が残っていない」と答弁。資料はすでに廃棄されていて残っていないというのだ。最近よく目にするパターン。

 宮本委員が、「今年のリストは少なくてもあるはずだと思う」と食い下がると、井野官房長は、「桜を見る会に関するこうした資料は一年未満の文書という風に整理しており、今年の資料についてもすでに開催が終わったので廃棄した」と言い切った。
 結局、各省庁による招待者の推薦や内閣府等によるとりまとめの過程は明らかとならなかった。

 桜を見る会には税金が使われている。
 会への招待者をどうやって選定しているのか、その選定は適切なのか、資料がすでに廃棄されていてそういった検証ができないというのはひどい話だ。




標準文書保存期間基準

 しかし、調べてみると、井野官房長の答弁はどうもおかしい。
 桜を見る会に関する資料は、本当は残っているのではないかと思う。
 残っていることを伺わせるようなルールがある。

 そのルールというのは、「標準文書保存期間基準」というものだ。
 これは、各行政機関が行政文書管理規則を根拠に作成しているもので、各行政文書の保存期間が定められている。

 内閣府が公表している標準文書保存期間基準によると、桜を見る会推薦者名簿の保存期間は3年となっていて、また、桜を見る会に関するその他いくつかの文書の保存期間は5年となっている。

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 内閣府
内閣府本府各部局の標準文書保存期間基準(保存期間表)について - 内閣府

 迎賓館総務課 標準文書保存期間基準(保存期間表) 3ページ
https://www8.cao.go.jp/koukai/pdf/39geihin_hozon.pd#page=3f

 大臣官房総務課 標準文書保存期間基準(保存期間表) 13ページ
https://www8.cao.go.jp/koukai/01soumu_hozon.pdf#page=13

 確かに1年未満と定めたものもある。
 大臣官房人事課 標準文書保存期間基準(保存期間表) 5ページ
https://www8.cao.go.jp/koukai/pdf/02jinji_hozon.pdf#page=5

 宮本委員の質問に対する井野官房長の答弁はまさにこの資料のことなのだ、とも言えるかもしれない。

 けれど、その他の行政機関の標準文書保存期間基準を見ても、桜を見る会に関する資料は保存期間が比較的長く定められていることが多い。
 残っている資料を精査すれば、それなりのことが分かるのではないかと思う。

総務省 
総務省|標準文書保存期間基準(保存期間表)

 統計局 桜を見る会被招待者の選考の経緯 10年
http://www.soumu.go.jp/main_content/000590255.pdf#page=15

 これなんかモロじゃん。少なくても総務省には残っているはず。この資料の提出を求めてもいいんじゃないかな。

 政策統括官(統計基準担当) 園遊会桜を見る会の 推薦の決裁 10年
http://www.soumu.go.jp/main_content/000607752.pdf#page=5


文部科学省 
大臣官房:文部科学省

 大臣官房人事課 園遊会桜を見る会等に関する文書 内閣府からの推薦依頼推薦依頼に対する回答 内閣府からの照会事項照会事項に対する回答 10年
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/other/detail/__icsFiles/afieldfile/2018/06/04/1403827-01.pdf#page=4

 これもそうだね。文部科学省にもある。

厚生労働省 
標準文書保存期間基準(保存期間表) 労働基準局|厚生労働省

 労働基準局総務課 10年
https://www.mhlw.go.jp/shinsei_boshu/gyouseibunsho/dl/05-01.pdf

 年金局総務課 10年
https://www.mhlw.go.jp/shinsei_boshu/gyouseibunsho/dl/12-01.pdf

 保険局総務課 10年
https://www.mhlw.go.jp/shinsei_boshu/gyouseibunsho/dl/11-01.pdf

 医政局医療経営支援課 10年
https://www.mhlw.go.jp/shinsei_boshu/gyouseibunsho/dl/02-10.pdf

 医薬・生活衛生局総務課 10年
https://www.mhlw.go.jp/shinsei_boshu/gyouseibunsho/dl/04-01.pdf#page=5

 老健局総務課 10年
https://www.mhlw.go.jp/shinsei_boshu/gyouseibunsho/dl/10-01.pdf#page=10


国土交通省 
標準文書保存期間基準 - 国土交通省

 大臣官房人事課 10年
http://www.mlit.go.jp/common/001269004.xlsx

 海事局 10年
http://www.mlit.go.jp/common/001267262.xlsx

 海難審判所総務課 5年
http://www.mlit.go.jp/jmat/kobunsho/soumu.pdf

 幹線鉄道課 10年
http://www.mlit.go.jp/common/001281203.xlsx


法務省 
法務省:法務省本省内部部局の標準文書保存期間基準

 民事局総務課 3年
http://www.moj.go.jp/content/001256105.pdf

 矯正局総務課 1年
http://www.moj.go.jp/content/001264759.pdf

 法務省は少しはやめに廃棄するみたい。

 それにしても、内閣府だけ1年未満文書としてすでに廃棄しているというのもやはりおかしい。
 とりあえず、内閣府は今一度この件に関する資料が残っていないか調査をした上で、説明責任を果たす必要がある。

まとめサイト政治知新のデマに共産党が抗議「事実無根で重大な名誉毀損」法的措置を検討

 「政治知新」というまとめサイトが非難に晒されている。
 発端は、共産党参議院議員吉良よし子氏に関する事実無根の中傷記事だ。記事はすでにサイト上からは削除されているが、アーカイブが残っている。
ツイートのアーカイブ http://archive.fo/Ivfzs

 問題となっているのは、2019年4月11日に公開された"共産党の吉良よし子参議院議員に「地方の大学教授」との不倫疑惑が複数報じられる"というタイトルの記事で、月刊誌『実話ナックルズ』のWEB版「覚醒ナックルズ」の記事を引用して作成されたものだ。

 吉良氏と男性(現在吉良氏の夫)が一緒に写っているプライベートな画像をトップに使用し、あたかもそれが不倫の現場であるかのような印象を与えながら、吉良氏曰く「事実無根」の不倫疑惑をいかにも信ぴょう性があるかのように書いている。

 これに対して、4月12日、吉良氏がTwitterにて反応した。


"私のことを誹謗中傷するサイトが拡散されています。
その内容は、すべて事実無根です。にもかかわらず、まるで事実であるかのように、拡散されていることは、重大な名誉毀損であり、絶対に許せません。
こうした行為を厳につつしむよう、強く求めます。"

 文面からは強い憤りが感じられる。根も葉もない不倫疑惑をでっち上げられ、プライベートに踏み込む写真を無断で使用され、しかもそれが誤った印象を与えるような使い方をされ、ネット上で拡散されたのだ。怒りは当然だろう。
 
 そして同日、日本共産党Twitter公式アカウントもこの件に関してツイートを行なった。


"吉良議員を誹謗中傷する記事を掲載したサイトが拡散されています。全く事実無根であるにも関わらず、事実であるかのように掲載し拡散されていることは、吉良議員に対する重大な名誉棄損であり、許せません。日本共産党として法的措置を検討します。"

 「誹謗中傷」「事実無根」「重大な名誉毀損」と強い非難の態度を示し、また、法的措置を検討していることを示した。デマによる攻撃を受けている党所属議員を守る姿勢は、当然のこととはいえ、立派だ。

 さらに、13日、日本共産党東京都委員会はホームページにて、吉良氏に対する中傷に抗議するコメントを発表した。
www.jcp-tokyo.net


 該当記事はというと、なんの釈明も謝罪もないまま、いつの間にか削除されていた。政治知新は現在も記事を量産し続けている。

 実は、この政治知新というサイト、吉良氏だけではなく他の政治家に対しても名誉に関わる扇動的で攻撃的な記事を多数掲載している。また、ヘイトスピーチに当たる言葉も多く目につく。
 立憲民主党蓮舫氏等の野党議員についてのものが多いが、自由民主党石破茂氏についての記事も少なくない。その他、沖縄県知事玉城デニー氏等がターゲットだ。

 蓮舫氏に関する記事 https://seijichishin.com/?p=14614

 石破茂氏に関する記事 https://seijichishin.com/?p=11837

 玉城デニー氏に関する記事 https://seijichishin.com/?p=7914

 問題となった記事を巡って、政治知新はネット上で大きな批判を浴び、サイト管理者の住所氏名が特定される事態となった。
 その結果、管理者は自由民主党神奈川県議田村雄介氏の親族であることが明らかとなった。特定に至った経緯は下記のブログ等で確認してほしい。
http://infocus.hatenablog.com/entry/2019/04/13/225144

 その後、ウェブメディアがサイト管理者や親族の神奈川県議田村雄介氏を取材し記事にしているが、事態の全容はまだ解明されていない。

Literaの記事
https://lite-ra.com/i/2019/04/post-4661.html

BuzzFeed Japanの記事
https://www.buzzfeed.com/jp/kotahatachi/seiji-chi-shin

 ヘイトスピーチやデマ、誹謗中傷を交えた扇動的で攻撃的な記事を掲載するこのようなまとめサイトは、健全な言論活動を阻害し、民主主義を機能不全に陥れる一因となる。
 強い抗議の姿勢を表明した共産党にエールを送るとともに、早期に吉良氏の名誉が回復することを望む。

 なお、現在この件に関して調査を行なっており、結果は改めて報告したいと思う。